ハルモニア・フォンテ(フォンテ) の新着情報

ハルモニア・フォンテ(フォンテ)

チャリティコンサート「とどけよう 音楽の花束2017」ご報告

2月19日(日)エプタ・ザールにて行われました、
東日本大震災被災者支援チャリティーコンサート「とどけよう音楽の花束2017」
(主催:ハルモニア・フォンテ、後援:狛江市、狛江市教育委員会)
におきましては、150名以上のお客様にご来場いただきまして誠にありがとうございました!

皆様からお預かりしましたチケット代とご寄附から、コンサートに必要な経費を差し引いた、230,550円を、3月9日に一般社団法人エル・システマジャパンへお贈りすることができました。
未来へとはばたく子どもたちの音楽活動に役立てていただければ、と思っております。

(エル・システマジャパンでは、4月29日(土)14:00~、渋谷区文化総合センター 大和田さくらホールにて、相馬子どもオーケストラ、大槌子どもオーケストラの東京デビュー公演となるコンサートを開催するそうです!
詳細はこちらをご覧ください。  
http://www.elsistemajapan.org/news

応援いただきました皆様に、ハルモニア・フォンテのメンバー一同より重ねて御礼申し上げます。
これからもどうぞよろしくお願い致します!

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♪2/19コンサート当日の様子を、お客様のK様が詳細にレポートしてくださいましたので、

こちらもお読みいただければ幸いです。

 この日、素晴らしいコンサートを体験することができました。きっかけは、SNSでのヘンデルの話題でした。お友達の音楽家中溝さんから、様々な音楽活動のコンサートにお誘い頂いていましたが、タイミングが合わず、今回その演奏を初めて聴くことになりました。しかも主催の「ハルモニア・フォンテ」の代表を務めておられます。以前に自作曲を聴かせて頂いたこともありましたが、今回はオーボエの演奏でクラシックの選曲、中でもヘンデルの「九つのドイツアリア曲集」からも聴けるとあって、楽しみに参りました。

 狛江市は初めて訪れますが、実際私の自宅からはそう遠くはありません。駅の周辺も閑静でおっとりした雰囲気です。会場はとてもモダンな外装のマンションであった事に驚きました。受付をすませると、ホールへの通路奥の廊下に演奏家達の写真が飾ってあり、名だたる方もあって気分が高揚します。そして小規模ながらモダンな意匠と、二階席もある天井の高い素晴らしいホールにも、驚きと共に感激しました。

 満席で時間になりますと、司会者のMCで演奏開始です。最初の曲は、二階席からの中溝さんのオーボエ独奏、テレマンの「十二のファンタジア」第一番より抜粋で、高らかに開始のファンファーレが響きます。なんと心憎い演出でしょう。その勇姿を拝むのに、突然だったのと真後ろが向きづらく、少ししか見られず残念でした。それにしても随分大きな音で、響きが素晴らしいです。テレマンはバッハを少し明るくしたような、親しみのある感じです。

 パンフレットが配られ、曲目解説も書いてあり、司会の簡潔な説明もあってわかりやすい進行でした。

 モーツアルトのオペラ《魔笛》から、『おいらは鳥刺し』、バリトンは井草良介さん、若いスリムなルックスと深い低音とのギャップが素敵で、鳥刺しパパゲーノの小さな鳥かごをぶら下げて、控えめな扮装が可愛いらしかったです。

 朗読は中溝亜紀子さん、明るくふうわりと羽根のはえた声で、パパゲーノが嫁さんが欲しいんだというと、パパゲーナが現れて...というくだりで、「あ、ジェルソミーナみたいだ!」と思いました。フェリーニ監督の映画《道》の天使のようなジェルソミーナが、ラッパを吹くシーンを思い出したのです。

 続く『パパパ』は、パパゲーノとパパゲーナが出会って歌う二重唱です。最初はおずおずと、どんどん歓喜して、羽ばたきながら歌う可愛いらしさと、パパゲーナのソプラノ鈴木菜穂子さんの、飛翔する声の素晴らしさが際だっていました。

 続いて日裏晶子さんのピアノ演奏は、ショパンの「バラード第三番」。「水の精」という詩に、インスピレーションを得て書かれた曲という解説がありました。清新な水の煌めきのような音から激情へと変わる激しさ、蠱惑的な踊りのような響きから、水の精に引きずり込まれ、死んでも愛し続ける眩惑的な最後といい、美しくも恐ろしい曲を硬質で、しかも流麗なタッチで弾いた素晴らしい演奏だったと思います。

 第一部の最後は、期待のヘンデルの「九つのドイツアリア集」より『優しき矢車草の花よ』。ソプラノとオーボエ、通奏低音のバソン(フランス式バスーン)とピアノによる演奏です。バソンは伊澤賢さん、バソンは初めて見ました。オーボエも間近でみるのは初めてです。足下に小さなスタンドが置いてあり、替えのリードが備えてあります。中溝さんの黒の衣装も、しっくりして格好よかったです。

 中溝亜紀子さんの朗読は、ブロッケスの詩の自然の美しさを礼賛し祈りを捧げる内容で、優しさと慈しみを感じさせる響きでした。腕を直線的にすうっと伸ばす仕草が印象的で、空気の色がさっと変わるように感じました。

 演奏は温かなバソンの音に、オーボエの華やかで甘い、そして少し哀感のある良くとおる響きが重なるところが白眉でした。ソプラノの鈴木菜穂子さん、パパゲーナとはうって変わってしっとりとした歌声でした。ピアノは本間ヒカルさん、タッチの粒立ちが綺麗な演奏でした。チェンバロであったらどうだろうかとも思いましたが、写真のとおり、美しいピアノで目にも豊潤な心地を与えてくれました。ヘンデルはイギリス在住のコスモポリタンで、音楽はけっこうイタリア的かなとも思っていましたが、これはドイツ的なきりりとした音楽を感じさせる曲と演奏で、もっと聴きたいと思いました。

 ここでハルモニア・フォンテ代表である中溝さんが挨拶され、チャリティの目的、寄付先の紹介、金額等の詳細なご報告があり、大変綿密に丁寧な企画がなされていて、聴く側の参加者にとっても特別な、有意義な時間を過ごせたと思います。

 休憩の後、第二部は最初にスペインの作曲家の五曲がピアノ独奏されました。ピアニストは福島ゆきさんで、ご自身で編曲もされています。

 今回の演奏では最初の『愛のロマンス』(映画《禁じられた遊びより》)アントニオ・ルビーラ作曲のギター曲と、最後の『アルハンブラの思い出』フランシスコ・タレガ作曲のギター曲をピアノ曲へと編曲、演奏されました。よく知っている旋律が、ピアノで聴くとまた違った趣で良かったです。二曲目はグラナドスの『アンダルーサ~祈り』「十二のスペイン舞曲」より第五番、三曲目が《風景》より第一番『泉と鐘』フェデリコ・モンポウ作曲、四曲目が舞踏組曲《恋は魔術師》より『火祭りの踊り』マヌエル・デ・ファリャ作曲でした。

 民族色豊かなグラナドス、舞踏組曲で民族色と洗練された現代性を発揮するファリャ、そして今回初めて聞いたモンポウは、情景が浮かぶようで非常に印象的でした。
福島ゆきさんの演奏は、明快でしかも叙情性があり、とても素敵でした。ここでコンサート全体の企画の色と配列がくっきりしてきたように感じました。

 うってかわって、絵のお魚を持ったソプラノ鈴木菜穂子さんと、バリトン井草良介さんの両歌手が登場、ロッシーニの「猫の二重唱」をコミカルに演じ歌いました。強気でおきゃんな雌猫と、へたれな雄猫、おかしくも楽しい一場でした。ピアノは第一部ショパンを演奏された日裏晶子さん、衣装替えされ、音もお洒落で弾むような演奏でした。ここで第一部のプログラムの「魔笛」とも符合したように感じました。カップルの出会い、反目、軽妙な愛の音楽。

 最後はフランシス・プーランク「ピアノ、オーボエ、バソンのための三重奏曲」(ファリャに捧ぐ)《第一楽章:Presto 》《第二楽章:Andante 》《第三楽章:Rondo 》。ここで司会者によるバソンの楽器説明のMCが入り、演奏が難しいのと仕組みが古いままということで、現在はほとんどドイツ式のファゴットに変わっているということもわかりました。素朴な懐かしさを感じる温かい音色、そしてソロでもよいような独立性も感じ、今回聴けてよかったと思います。管楽器の木材も、柔らかな色合い質感共に美しいです。オーボエは中溝さん、バソンは伊澤賢さん、ピアノは日裏晶子さんです。

 第一楽章はバロッキーなジャズみたいでユーモラス、と思っていたらパンフレットにハイドンのアレグロ(一瞬 Presto でなく Allegro と思いましたがもっと速い)の構成を模倣したと、プーランク本人が言っていたと書かれていました。日裏晶子さんの自在なピアノにも圧倒されました。

 私は、第二楽章アンダンテのゆったりした抽象的なところが、現代的で良いなと感じました。このテンポでのオーボエの響きの豊かさ、身体も楽器となっているのだ、という感慨を持ちました。演奏は明るい伸びやかな音で、演奏者中溝さんの内的な知性を思うと、意外でもありました。管楽器の演奏技術についてはほとんどわかりませんが、今回非常に興味を持ちました。独奏も聴いてみたいです。バソンの伊澤賢さんの、ゆったりした響きの演奏もとても良かったです。

 第三楽章は踊るような、素早い演奏でスリリングです。これもサンサーンスのピアノ協奏曲の構成のパクリ(笑)だとか。「ファリャに捧ぐ」というのもなんとなくわかりますし、トリビュートやパロディも現代の特性で、「これってロックでしょ!」と思えるような共感を感じる楽しい演奏でした。

 私は室内楽がとても好きです。バロック音楽、もっと前の古楽も。それに対して現代音楽も大好きです。民謡、民族音楽も、舞踏音楽も。そして詩と歌曲もです。このコンサートでは主に十八世紀と、十九世紀後半から二十世紀の音楽をチョイスされていたようですが、私が愛好してきた前述の音楽がちりばめられていて、自分と共通する感性を感じ、とても満ち足りた気分でした。単なる希望ですが、次回はもっと新旧のコントラストをつけてはどうでしょうか。

 最後に演奏者全員が揃って歌い演奏する「花は咲く」が始まると、私は予期せぬ涙が溢れてぬぐうこともできませんでした。私自身が阪神淡路大震災で生家を失っていましたので、震災で亡くなった父の従姉妹や、子供の頃生家で過ごした日々を思い出し、東日本大震災で亡くなられた方々に鎮魂の祈りを捧げたい、被災された方々に少しでも支援をしたいと心から思いました。

 受付、司会、楽譜台や椅子の設置移動等もスムーズに行われ、スタッフの方々のご尽力もみてとれました。音楽が人と人を繋ぎ、平和と豊かな世界を築いていくために、小さな力を積み重ねていきましょう。

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