狛江さつき会 見学会 「民藝店」を楽しむ
6月4日(火)10時狛江駅集合 世田谷美術館にて開催
新緑が美しく、風も涼しく、砧の森に囲まれてまず、都会とは思えない自然に浸りました。
約100年前に柳宗悦(やなぎ むねよし)は、日常生活の中で用いられてきた手仕事の品々に美を見出し、「民藝的工芸・民藝」の考えを唱えました。日々
の生活の中にある美を慈しみ、素材や作り手に想いを寄せる、この「民藝」の思想は、今改めて、必要とされ、私たちの暮らしに身近なものとなりつつあります。
民藝について「衣・食・住」をテーマに紐解き、暮らしで用いられてきた美しい民藝の品々約150件を展示。また、今に続く民藝の産地を訪ね、そこで働く作り手と、受けつがれている手仕事の紹介。
美は暮らしのなかにある
パンフレットにある案内に沿って会場に入ると、民芸品に満ち溢れた部屋が現れました。家具、調度品、食器、壁掛けなどなど
しっかりと生活に溶け込んでいて、それぞれが役割を果たしている存在感があり、圧倒される感じを持ちました。繊細に手芸を施された着物や、たび、竹細工がある一方、大胆な陶芸がありました。せんべいと書かれた壺は50センチくらいの丈があり黒光りがしてでんと座っていました。こんな大きな壺に煎餅を入れるの?不思議な気がしました。
刺子の稽古着、沖縄の紅型染めの着物、紬のショール、アイヌの民族衣装・・・どれも今の日本人の体格から考えると、とても小柄だったと想像されました。子供の頃農家に疎開していました。朝早くから山に草刈り、帰ってすぐ牛の世話、田と畑仕事、合間にご飯といったお百姓さんの生活を見ていましたが、背景にある
厳しい生活が浮かんできます。蚕棚、糸取り機、機織り機が納屋にありました。
夜なべや、農繁期、農閑期の生活の隙間に作られたのでしょうか。
世界の民藝もありました。卵入れ(朝鮮半島で作られたもの)の窓付きの可愛らしい籠、人形、刺繍の施された靴下・・・文化の違いに驚かされました。
一気に何十年もの世代と、行ったこともない土地を巡ったような不思議な感覚を味わいました。
遠い世界ではなくて、親しみやすいところがいいな・・・と思い会場を後にしました。
6月30日までやっていますが、この通信が出る頃には終わっていますね。
美術館の前に広がる公園の木々の下で、お腹を満たして帰路につきました。
2024・6・15 三島瑞子
※さつき会だよりNo.110 より